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April 27, 2006

YOMIURI ONLINE review

[評]ボン・ジョヴィ公演

「清く、正しく、美しく」。この米国の人気バンドのステージに触れ、こんな文言が浮かんだ。

 「清く」=ロックが根源的に内包する反逆性やいかがわしさとは無縁。人間の善意を信じ、前向きな活力につなげようとする世界観は清廉だ。

 「正しく」=ギターを軸に豪快さを演出しつつ、キーボードで色彩感を加える音の作りは、ハードロックの妙味を堪能させる。均整の取れた旋律を直球勝負で聴かせる、まさに正統派と言える。

 「美しく」=容姿端麗なボーカル、ジョン・ボン・ジョヴィ=写真=は、スター性十分。今回も女性ファンの熱い声援を浴びていた。また、ギター・ヒーロー的な名手、リッチー・サンボラの存在も見逃せない。華のある歌手とギタリストのそろい踏みは絵になる。

 「夜明けのランナウェイ」「バッド・メディシン」などのヒット曲に、「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」といった新作収録曲をバランス良く配し、すきのない構成。客席から大合唱の声がわく。ロック界の優等生の面目躍如。

 1984年デビューの彼らは、大衆路線を進んだ80年代ロックの象徴的存在だった。そういった在り方に反旗を翻した、90年代のオルタナティブ・ロック台頭以降、多くの80年代スターたちは、苦戦を強いられた。そんな中、ボン・ジョヴィは、自らの音楽性を貫き、頂点に君臨し続ける。

 確かに様式的というそしりはあろう。が、その枠内で良質な作品を生み出し続けた点を忘れてはなるまい。仮に、「新作に入っている『ハヴ・ア・ナイス・デイ」って、『イッツ・マイ・ライフ』に少し似てない」と言われたら。ファンは自信をもってこう答えればいい。「でも両方ともいい曲じゃない」(西田浩)

 ——8日、東京ドーム。

(2006年4月27日 読売新聞)

Posted by riesambo at April 27, 2006 11:16 PM